「作り話」すべて崩れる

裁判官の厳しい尋問にメロメロ

(57・2・2付)

 月刊ペン裁判での原島の証言が二十九日の公判で一応終わった。

 証人に立つ前は、マスコミを使って“大物”ぶって、側近で、さも自分しか知らない新事実があるかのようにあおり立てた原島――。しかし、公判が進むうちに、自分でウワサを作り、見た、聞いたといっては、デッチ上げたことが次々と、そのメッキがはがされ、事実無根が明確になった。一事が万事で、そのあまりのデタラメな証言内容と品性の下劣さに、週刊誌記者も、だまされていたことが証明された。この日は、裁判官から原島に鋭い尋問があり、偽善者ぶったウソで固めた証人に“最後の審判”が下された。

 もともと、ありもしない名誉会長のスキャンダルをねつ造して話をつくってきた原島だから、裁判官や検察官から矛盾点を突かれれば、馬脚をあらわすのは当然といえば当然のこと。

 厳しい裁判官の尋問の連続に、終始、証言台の机の端を握りしめ、動転した心の動揺をかくす、この日の原島の態度。神聖な法廷の場をウソで汚し、正体を暴露された男の断末魔がだれの目にも明らかであった。

 とともに、今回の裁判官尋問により、彼のいうスキャンダル話が何一つ根拠もないことが次々と明白にされたことを明記しておこう。

 そのサワリの部分をいくつか紹介してみると――。

 裁判官いわく。「あなた(原島)はユカタに口紅がついていた云々といっているが、普通、ユカタには何か物がついていたとしても(ユカタにはいろいろな模様がついているので)、一見してもわからないものだが、その点、どうなんですか」と。

 とたんに原島「そういえば、たしかにおっしゃる通りですが……」としどろもどろ。

 裁判官はさらにつづけて追及。「あなたは、どうしてそうだというのですか。その根拠はなんですか」と。

 すると原島「上田さん(副会長)の話から判断した」と、今度は人に責任をなすりつける始末。どこまで卑劣なのか底知れない。

 しかし、裁判官の尋問は虚構の奥を突き刺すように、さらに鋭くつづく。「たとえそういう話があったとしても、当時のあなたの置かれた立場からして、そんな話はすぐに信じられなかったはずだ。むしろ、そんなことはない、と否定への方向に心が傾斜していくのが普通ではないですか」と。そこまでくると「それはそうなんですが…」と原島。答えに窮してしばし絶句。

 傍聴席からみても、彼の話のことごとくが、後からねつ造した、悪質な作りごとであることは、だれの目にも明らかだった。

 裁判官のとどめの一言がきいている。「要するに、あなたの話には、あなた自身の目撃事実というのは、ないんですね」と。

 ウソをみずから白状してしまうような、おそまつな一幕。裁判官の目はじつに鋭く、真実をすべて見破っているようだ。

 これで、彼が天性のウソつきで、すべてが妄想であったことが、白日の下にさらされてしまったわけである。

 それにしても主尋問だけでも約九時間も費やして結局、何一つ目撃事実がなかったという、この原島証言――彼はなんのために法廷に立ったのか、その動機の背景に“黒い意図”を感ずるのは記者一人ではあるまい。

 

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