スキャンダル記事全てウソ
鑑定書で、内藤の作り話総崩れ
(57・4・14付)
月刊ペン裁判が九日、東京地裁で開かれた。この日は、被告人・隈部側の証人である内藤国夫に対して、検察官から反対尋問が行われ、山崎、原島に次いで、内藤の“証言”もまた、全てが作り話であり、かつ、その作り話もことごとく、見事に突き崩された。
内藤は、周知のごとく、山崎や原島らのデッチ上げの情報をそのまま鵜のみにして雑誌等に一方的に書き、学会、名誉会長のスキャンダルをマスコミ界につくり上げた張本人。そのデタラメな記事内容と傲慢不遜な人間性については、「花形記者は転んだ」という本のなかでも明らかにされていたが、この日の尋問においても、これがジャーナリストかとあきれざるを得ない“証言”に終始し、あまりのひどさに傍聴した人達の失笑と怒りをかっていた。
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内藤は、これまで、学会幹部や公明党議員の子息が名誉会長の子供であるなどと、全くデタラメで、かつ人権侵害もはなはだしい悪質な作り話を雑誌に書いたり、法廷で証言していた。子供の父親が誰であるかなどは、血液型等を調べればすぐわかること。それを調査もしないで書いた内藤は、その点だけで、ジャーナリストとしても、人間としても失格であることが明らかだが、この日、検察官は、この内藤のいい加減さを厳正に追及した。まず検察官は「この件について、証人は、事実確認なり、本人に取材しているか」と尋問。
これに対し内藤はなんら悪びれた様子もなく平然と「していない」と答え、傍聴席をまず驚かせた。
そこで、検察官が、それぞれの血液型鑑定書を突きつけ「この鑑定書では、事実のうえで『父子関係が存在しない』と科学的に証明されているが、あなたの話は誤りではないのか」と鋭く追及した。
内藤は、鑑定書を示され、思わずたじろいだが、すぐムキになって開き直り「こんな紙キレ一枚見せられて信用できるか」とヤクザまがいの回答に終始し、傍聴席の驚きと怒りをかった。
信用できるもできないも、実は、この血液型鑑定書は、日本最高の法医学の権威として有名である東京医科歯科大学医学部法医学教室の中嶋八良助教授の鑑定によるもの。それによれば、当然のことながら、両者の間に「父子関係が存在しない」と明確に鑑定されており、内藤の書いたり、しゃべったりしたことが、真っ赤なウソであることが証明されている。
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それにしても、血液型鑑定書という科学的にも、客観的にも事実関係を裏付ける資料には「信用できない」といい、一方で、内藤自身も「謀略のプロ」と認めていた刑事被告人・山崎正友の言葉を、無条件に「信用する」という、この内藤の異常さにはあきれるばかり。到底、常識では考えられない転倒ぶりである。
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鑑定書で、そのウソが全て明るみに出た内藤だが、さらに検察官は「あなた(内藤)は何も調べずに、すぐ誰々の子ということを書くが、あなたには、そう書かれた子供やその両親の人権に対する配慮はないのか」と厳しく追及した。それは、内藤の余りにひどい人間性とデタラメな取材態度を許すまいとするいかりを込めた尋問だった。
この尋問に対しても、内藤は「いや自分は、そういう意図で書いたのではない」と、答えにもならない弁明を繰り返すばかり。
検察官から「あなたの書いたものが事実と違ったらどうするのか。人権侵害ではないか」と、更に問いつめられても「それは、関係ない」と逃げる内藤。自分が書いた事実無根の記事によって、言葉ではいいようのない苦しみを味わった子供やその両親の基本的人権など、なんら考えていない残忍な人間性を露呈した。
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かくして検察官の厳正な尋問によって、内藤がこれまで書いてきたことや証言したことが、いっさい事実無根の話であることが暴露されたわけだが、この日の法廷で明らかになった内藤の異常な人間性、及び取材も事実確認もしないで、他人の人権を平気でふみにじる記事を書いた、そのジャーナリストとしての姿勢は、単なるウソではすまされない社会的に大きな問題であり、今後、社会のあらゆるところで糾弾されるにちがいない。
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