「スキャンダルの根拠なし」

お粗末、月刊ペン裁判での羽柴証言

(57・5・13付)

 月刊ペン裁判が七日、東京地裁で開かれた。この日は、被告人・隈部側の証人として、檀徒たちの新聞「継命」の元編集長の羽柴増穂(退転者)が出廷。謗法新聞「継命」の元編集長という肩書きだけで、学会に一方的に悪意をもつ証人であることは明確だが、この羽柴、昭和五十四年に学会を脱会し、一時は、週刊誌で、山崎、原島の前に学会造反のヒーローのごとく扱われていたかと思うと、今度は、正信会、檀徒とも仲間割れして、今年一月には、正信会の内部告発の本を出版する告発者に様変わりする忙しさ。根本の信心が狂っているがゆえに、その都度、流転していく典型的な退転者である。

 その羽柴に、どこまで証言能力があるか、危ぶまれていたが、はたせるかな、この日の法廷では羽柴は、憶測や伝聞による具体性のないあいまいな証言を繰り返すばかり。彼もまた、スキャンダルの真実性を立証するどころか、逆に巷間いわれているスキャンダルがいかに根拠のない話であるかを明らかにする結果となった。

 羽柴は、昭和五十四年十一月にも、この裁判の第二審(東京高裁)で被告人側の証人として出廷。その際、羽柴は、隈部が書いた中傷・誹謗記事(月刊ペン五十一年三、四月号)に対して、「それが出版された当時、(スキャンダルは)ありえないことだと思った」と証言していた。

 今回の公判で、裁判長は「あなたの話はあいまいなところがあって、具体性がない。要するに(月刊ペンが出版された)五十一年を基準とすると、それ以前には、スキャンダルめいた話を信用していないし、否定していたわけですか」と尋問。

 羽柴は「そうです」とうなずき、あっさり自分の証言と月刊ペン事件とが無関係であることを白状してしまった。

 さらに裁判長鋭くいわく。

 「あなたの話の根拠は何なのか……。(ウワサの)もとをたどれば、責任をもって真実だと誰がいえるのか」と。

 これには羽柴は、まともに答えられず、ようやく「週刊誌か雑誌に書かれてあるのを見た」と、答えにならぬ答えで傍聴席の失笑をかっていた。

 これでは羽柴が何のために法廷に出てきたのか、何を言いたかったのか、と誰もがおかしいと感じたわけだ。

 結局、羽柴の証言では、彼自身の目撃事実など全くないことは当然のこととして、具体性のある話も皆無。ただ、一部の週刊誌、雑誌に書いてあった中傷記事を読み、そのウワサ話のたぐいを事実かもしれないと思い込んだにすぎないというのが、その実態だった。

 それにしても、あきれはてた証人もいるものだ。被告人・隈部側は、何人、こうしたこっけいな証人を出しつづけるのであろうか。出せば出すほど被告人側のボロが大きくなり、ますます自らの首をしめていく結果になることをリアルに描き出しているのが、最近の月刊ペン裁判の現況である。

 

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