野心で信仰の世界を蹂躙
秋谷会長が“山崎の犯行”を指弾
(57・3・14付)
十一日には“山崎事件”の第二十回公判が、東京地裁で開かれた。昨年四月十日に第一回の公判があって以来、まる一年。裁判は、順調に進んでいるといってよい。この日は、秋谷栄之助会長に対する主尋問の最終日となった。
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会長は、宗門と学会の離間工作をはじめとし、持ち出し資料をつかってマスコミを利用し、社会問題化しようとした、人非人としかいいようのない被告人の奸計と野心の軌跡を具体例をあげながら、厳しく指摘した。
首脳には、純真な会員が安心して信心できるように守る責任がある。悩んだ。なぜ、一人の野心のために、これほどまでに尊い信仰の世界が蹂躙(じゅうりん)されなければならないのか、と苦悩しながらも、会員を守るために被告人からの不当な要求に応ぜざるをえなかったのである。
被告人はそれが成功するや、すぐまた汚い手口を使って重ねての恐かつに及んできた。
山崎の告訴を決意するまでの経緯を、秋谷会長は明らかにした。
――そして思いました。被告人のような存在は、いわば体内に巣くったガンである。ガンを摘出するには手術が必要である。血も出るであろう。痛い思いをするかもしれない。しかし、やがて今の学会首脳も第一線を退き、若い世代にバトンタッチする時がやってくる。そうした青年達にまで重荷を背負わせ、苦しい思いをさせ、いやな思いをさせるようなことがあってはならない。
若い世代に正しい学会精神を伝え、悔いなくバトンタッチするためにも、被告人をこのまま放置しておくことは断じてできない。
そういう思いで私どもは、被告人を断固として、告訴する決意を固めたしだいであります。
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会長の証言に、法廷内はシーンと静まりかえり、誰もがしわぶきひとつたてず真剣に聴き入った。
最後に、検察官が「創価学会の会長として現在の心境はどうですか」と質問。
会長は、一語一語、かみしめるように語っていった。
――被告人の卑劣なやり方は、これまで述べてきた通りであり、一人の野心のためにどれほど多くの人が言うにいわれぬ苦しみを味わってきたか。そのことを思うと限りない憤りが込み上げてきます。
宗門問題も話し合いで解決の道が開かれようとするたびに、被告人の画策で、その都度、無残にも壊されてきた。
そのため人間として一番悲しい肉親との別れに際し、成仏していないなどと言われて泣くに泣けないつらい思いをした人達。家族が学会から脱会させられ、お互いに憎しみ合うようにさせられた人達。せっかく信心を求めてきながら、信仰心をも奪われてしまった人達。
まさに、善意の信仰の世界に土足でふみ入り、あまつさえ己の野心の道具にするとは、人間として許せない悪魔の行為であります。もし、被告人が介在していなければ、宗門問題ももっと違った形で解決していたと今でも私は確信しております。
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会長は続けて証言していった。
――会員が最も信頼し、敬愛している池田名誉会長を倒せば、学会を倒せるとしてあらゆる卑劣な手段で集中攻撃をしてきたが、名誉会長は被告人にとっても大恩がある人であり、まさに不知恩の限りである。
また故北條会長は、一連の被告人との問題に終始一貫、責任者として取り組んできたが、その苦悩たるや、とうてい口で言い表せるものではない。
最後の最後までグチひとついわず、誠意をもって信心をわからせようと懸命になっていた北條会長の姿が、今でも目に浮かぶようです。
こうした名誉会長や北條会長の善導に努めた温かい誠意をも逆手にとったのが被告人であります。
もし北條会長が、この法廷に立てば、被告人の明らかなる犯行の経緯を厳しくつまびらかにしていったことでありましょう。
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そして会長は締めくくって述べた。
――今回の事件は、マスコミという社会の公器を悪用したまれにみる特異な犯罪であり、かつ弁護士という社会的に最も信頼される専門職の立場を利用しての悪質な犯罪であります。ひとり学会のみならず社会に与えた悪影響は極めて大きく、断じて許されるべきではない。
この種の犯罪を放置しておけばますます社会を毒するものであり、どうか厳正なるご判断のうえ、厳重に処罰をお願いしたい――。
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